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Channel: LOVEシアターでつかまえて!
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倉持版、あべこべの星~『ブロッケンの妖怪』

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一年前のレポを垂れ流し中です( ̄∀ ̄)
倉持サン目当てで行って参りました。

“『ブロッケンの妖怪』~2015年11月12日(木)公演キャスト【ソワレ】”

打越 秋次郎 /竹中 直人   弓田 桃  /安藤 聖
黒柳 藤夫  /生瀬 勝久   泊 精三  /田口 浩正
日ノ原 小真代/佐々木 希   日ノ原 虹子/高橋 惠子
稲井 貴一  /大貫 勇輔

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浮気性でだらしない絵本作家の打越と、その担当編集の黒柳、そして打越の愛人のは、とある離れ小島にある洋館を訪れる。
霧の濃い日にその島で起こるブロッケン現象の取材目的の為だ。
洋館には、日ノ原家の女主人虹子と、その娘小真代、執事の稲井が暮らしており、生活必需品を送り届ける船頭のも出入りしていた。
どこか、妙な様子の日ノ原家を気にしつつも、ブロッケン現象を待つ打越達だったが、実はこの家にはとある秘密があり……。
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やって来たのはシアタークリエ
席は14列4番、下手側。

で、今回の舞台は

面白かった!

ヴィラ・グランデよりもコメディ色が強めで楽しかったです。

では、レポへ~。


★全体の感想★

セットは、日ノ原家の屋敷のリビング?が常駐。
後方には大きなガラス窓があり、外はスクリーンになっていて外の景色=湖が映し出されています。
スクリーンと窓の間には通路があって、そこをキャスト陣が行き来します。
上手側には上へと登る階段。下手側は手前に扉、更に奥側に出口があり、どれも出捌け口で使われていたかと。
目立つ大道具類はセンターにあるソファと机ぐらいですかね。
もう一方の日ノ原家のシーンになるとセットの左右が逆になります。

物語は、絵本作家の主人公とその恋人、そして編集者がブロッケン現象の取材の為にとある小島の屋敷に来るところから始まります。
タイトルは、ブロッケン現象の別名から来てるんですね。
恥ずかしながら、どんな現象かは全く知らず今回初めて知りました。勉強になりました(駄目)。
私が説明するまでもなく、ネットで画像を見れば分かると思いますが、山なんかでよく見かける(私自身は山で見かけた事はないけど)霧の中に虹の光輪が出る現象です。
今回の物語の中では、霧の中に日ノ原家の屋敷が映り、それに光輪がかかるシーンが出てきます。
そして、4年に一度、霧の中に映る屋敷が近づいてきてもう一つの日ノ原家が現れる……というちょっとファンタジーな展開になります。

前情報ではホラーっぽい要素を打ち出していて、更にポスターもちょっとそんな感じでしたが、実際はコメディ要素が大分強め。
もう一つの日ノ原家が出てくるところも、ホラーというかファンタジー。
ドラえもんの『あべこべの星』を思い起こさせるような設定で、もう一方の日ノ原家(日ノ原家B)は保守的で堅実なお金持ちな日ノ原家(日ノ原家A)よりも大分自由で身勝手な人達の集まり。
で、そのAとBの間には秘密があり……というのが物語の肝になります。

Bの世界には、日ノ原家だけでなく打越や黒柳も存在していて、やっぱり真逆のキャラ。
勿論AとBはご本人達が二役やる事になるのですが、映像や見切れを駆使して入れ替わっていて面白いです。
仕掛けが分かっているとはいえ唸らされますな。
ここは物語の見所の一つですね。

倉持サンは毎回役名にこだわりを感じますが、今回もそれぞれ色が入った名前になっていて、ブロッケン現象に不可欠な虹の7色を思わせます。

そして、今回の箱と主演陣と私の愛する(笑)脚本家の倉持裕サンと言えば、4年前の『ヴィラ・グランデ青山~返り討ちの日曜日~』ですよね。
あちらも面白かったですが、今回は更にコメディ要素が強めなので、会場からもかなり笑いが起こっていました。
入れ替わりの面白さでも笑いが起こっていましたが、キャスト陣の掛け合いや台詞の面白さでの笑いが主ですね。
やっぱり、倉持サンの台詞選びが好きだなぁと改めて( ̄∀ ̄)

キャスト陣は合っている役を与えられていたり、また倉持作品を分かっているキャストが選ばれていて安心して観ていられました。
掛け合いも面白い。
一部、かなり不満なキャストもおりましたが(すみません)、他のところでカバーはできていたので概ね良かったかと。

考えてみれば、4年に一度日ノ原家が現れるって設定は「オリンピック?」とか思っていたんですが、ヴィラ・グランデが4年前だったので、竹中・生瀬・倉持のこのプロジェクトの頻度ともかけているのかもしれませんね。
でも、4年に一度と言わず、もう少し高頻度で観たいですな( ̄∀ ̄)
3回目に期待。

では、お次はキャストさん感想へ↓

打越秋次郎●竹中直人サン
怠け者な絵本作家(笑)。
奥様がいるにも関わらず、桃という恋人を作ってしまったりと色々とだらしない感じの人でした。
おまけに小真代とも良い感じに……。

日ノ原家に来る事に全く乗り気でなく、ずっと帰りたがっていましたが、日ノ原家Bの登場には大興奮で先んじてB側に突入しておりました。
そこは一応絵本作家の創作意欲を刺激するところだったんですかね(多分違)。

そういえば、Bの屋敷が接近してくる時、皆が屋敷の接近に驚愕している中、船頭の船が屋敷に挟まれて泣いているのを見て

「船頭が泣いてる!」

と言ったのがめちゃくちゃウケました(説明下手ですんません)。
いや、こういうハズしの台詞ってよくある手法だと思うのですけど、タイミングが予想外すぎて思わず笑ってしまいました。
竹中サンの間がまた面白いのですよね。

そして、Bの打越。気が弱いのは同じなんですが、非常に真面目でしっかりと仕事をこなしていました。
Aの黒柳には「誰だお前!」と思いっきりツッコまれるぐらいに性格が違います(笑)。
ギャップが◎。
どちらも竹中サンの得意な方に役をもっていっているので演じ分けているというよりかは、どちらもよく見る竹中サンだなという感じです(褒め言葉)。

ヴィラ・グランデよりかはおとなしめかもしれませんが、生瀬サンとの掛け合いは前回以上に楽しめました。
掛け合いのテンポも心地よいので、相性が良いのだなと改めて。

黒柳藤夫●生瀬勝久サン
いやー、今更言うでもないですがお上手です。
ツッコミの切れ味が(そこ?)。

黒柳Aは真面目で、ふらふらしている打越に対して毎回厳しくも的確な指摘をしております。
でも、ウジウジ仕事をしない上に女にもだらしない打越に苦労をかけられっぱなし。
しかも、彼が大事に身に着けている時計は、以前打越の奥様から貰ったもの。
実は、結婚前から打越の奥様の事が好きだったんですよね。
でも、打越は愛人を作ったりして、全然奥様を大事にしない。
余計にイライラするのも分かりますな。

黒柳Bはちょっと出るのを引っ張ります。
打越Bの話でどんな人物なのか前情報が入るので、何となくどんな人か想像がつくのですが、出てきた瞬間はインパクトがデカすぎて会場爆笑でした。
Aの地味な服装とは違った全身黒づくめでサングラス、チェーンをじゃらつかせたチョイ悪(チョイ?)オヤジな出で立ち。
生瀬サン、無駄にスタイルが良い!(無駄言うな)

格好にあまりもギャップがあるので、一番早替えが大変そうでしたが、上手くやっとりました。すごいわ。

Bの彼は、Aの打越のハード版といった感じ。
ふらふらしていて全然奥様を大事にしません。
因みに、黒柳Bの奥様は、Aの世界での打越の奥様と同じ方です(確か)。

最終的に、黒柳AとBが入れ替わるラストになるのですが、それが判明する下りで件の時計が伏線になっているのが面白いです。
確かに黒柳AとBを入換えた方が打越とは性質的に合いそうな気もしますな。
でも、奥様に関してはAとBで性格が違うのだろうから、お互い愛し合えるのかちょっと気になるところですね。

日ノ原小真代●佐々木希ちゃん
読み方は、“さまよ”です。
『おぼっちゃまくん』思い出しますね( ̄∀ ̄)オジョウサマヨ←分からない方すみません。

個人的には、見た目に関してはとても好きです。
初舞台のようで(初舞台の方を入れるのが竹中方針らしいので前回の優様枠?)、勿論舞台で観るのは初めてですが……う~~ん(早速すみません)。
テレビで見てても、お芝居が上手いと思った事は一度もありませんが(コラ)、やっぱり舞台でも同じでした。
というか、舞台の方がより粗が分かるというか……。
佇まいがそもそも不慣れですよね。
決まった動きをしているだけに見えるのがちょっと痛い。
台詞回しも発声も他の人とは比べられるものではないので、キャストの中では唯一残念な存在でした。
役が美貌のお嬢様という設定なので、見た目やスタイルで補える部分は大いにあるのですけど、彼女を補っていたのはそれ以上に周りの人の上手さなので、初舞台とはいえ、芝居が初めてじゃない割には物足りなかったかなと(すみません・汗)。

小真代は小悪魔的な女性で、打越にも満更ではない態度を見せます。
母親や執事に対しても悪意のある様子。
最初は探り探り観ていましたが、日ノ原家Bの存在が明らかになると、彼女はBの方の小真代だったと分かります。
4年前にAと入れ替わっていたワケですね。
Bの方は、虹子Aに対して「お父様を殺したのは貴方」と言っていましたがその真相は後々分かります。

小真代Aは絵に描いたようなお嬢様。
自分は「汚れてしまった」みたいな発言をしているので、どんな悲惨な目に……とハラハラしていましたが、たくさんの男の人にお酒を注いだだけというのが分かり、ホッとするやら何やらでした。
それを聞いた時の稲井の反応もウケました。

そして、当の稲井とは良い仲だったらしく、非常に美男美女のカップルでした。

厳しい感想になってしまって好きな方は申し訳ございません(汗)。
いや、彼女が選ばれたのって竹中サンの趣味でしかないだろ!という感じだったのと(オイ)、案の定な結果だったので思わず色々言ってしまいましたく(´□`;)スイマセン

稲井貴一●大貫勇輔くん
大貫くんをクリエで観るのは全く不思議じゃないですが、ストレートで倉持脚本ともなると、非常に不思議です( ̄∀ ̄)
折角の身体能力生かせないなぁと思っていたら、何気にちょっとしたダンス(嵐に巻き込まれてくねくねしてただけですが)、立ち回り?みたいなのも観られました。

やっぱり、ダンサーさんのイメージが強いので、がっつりした芝居ってどうなのかな?と思っていましたが、これが非常にお上手。
いや、演技自体は正にクリエで観てるんですけど、ストレートのイメージはあまりなかったもので。

稲井Aは典型的な執事。
小真代に対してやたらとツンケンした態度だなと思っていましたが、後々に彼女がBだったからというのが分かってきます。
彼は小真代Aと恋愛関係だったのですよね。
稲井Bは真逆の乱暴な性格。小真代への愛から暴力的になっているみたいですが、ちょっと怖い。こちらも小真代Bとは恋愛関係にあったみたいです。

稲井Aは暴力的なBを観て、自分の中にもこんな暴力的な部分があるのではと悩んでいましたが、ちょっとコミカルな感じになっていて笑えました( ̄∀ ̄)

大貫くんは演じ分けも上手く、ダンスだけでなく芝居心もあるのねと今更ながらに感心でした。
台詞のある舞台でももっと観てみたい。

弓田桃●安藤聖サン
倉持サンの舞台では、『フランケンシュタイン』『審判員は来なかった』で拝見しとります。

非常にサバサバした気持ちの良い女性なのですが、打越の愛人だったりします。
金目当てでもなんでもなく、一途な様子で、何故打越なんかと……と不思議な思いでいっぱいでした(笑)。
彼女はBの世界には存在しておりません。
Bの打越は真面目なので、愛人など作りませんからね。
その疎外感から、Bの世界の住人になりすまそうとしたり、涙ぐましい行為が可愛らしくて笑えました。
最後は、船頭サンとフラグが立った(?)感じだったのでゲス不倫もひと段落つきそうで安心です(どんな立場?)←色んな不倫騒動を見て、敏感になっている。

泊精三●田口浩正サン
ヴィラ・グランデに続いての出演ですね。
日ノ原家への忠誠心に熱い船頭サン。
怒りっぽくて、色々こじらせてる感じに見えるのですが、どこか憎めないのは田口サンのお人柄かなと( ̄∀ ̄)
前述の通り、舟を潰された時の流れがめちゃくちゃウケました。
竹中サンの台詞でより笑えましたが、彼の泣いている姿だけでも十分笑えました。

桃に優しくされて、ちょっと恋愛フラグが立ってましたよね。
どうなったのか気になりどころです。

そういえば、船頭Bはおりませんでしたな。


日ノ原虹子●高橋惠子サン
サスペンスにありがちの謎めいたマダムです(笑)。
でも、天然っぽさもありキュート。
小真代Aのお母様だなという感じですね。
大物女優ですが、物凄く主張するワケでもなく、しっかり舞台を引き締めていたのが◎。

虹子と娘の小真代は険悪な状態。
小真代は「お父様を殺したのは貴方」みたいな意味深発言をしておりました。
その真相は、日ノ原家Aの旦那様はもう亡くなっていて、Bの方の旦那様を連れて行こうとする最中に湖に溺れて彼も亡くなってしまったから。
実は、虹子だけのせいではないのですが、彼女はずっと自責の念に駆られておりました。

虹子Bは舞台上には出てきませんが、話だけは出てきて、ブロッケン現象で洋館を観光地にしているので、その営業に行っているというオチでウケました(笑)。


軽めですが、こんなところで。

面白い企画だと思うので、是非もっと短いスパンで観たいです。
今だとオリンピック並の頻度ですからね……。

では、お付き合い頂いた方がいましたらどうもでした!

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