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スカーフェイスは大分善人~『アル・カポネ-スカーフェイスに秘められた真実-』 by宝塚歌劇団・雪組

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相変わらず遥か昔のレポですが……。
雪組のもう片方のグループを観ました。

“『アル・カポネ―スカーフェイスに秘められた真実―』~2015年5月29日(金)公演キャスト【マチネ】”

アル・カポネ         /望海 風斗   ベン・ヘクト           /永久輝 せあ
メアリー・ジョセリン・カフリン/大湖 せしる  ジャック・マクガーン       /真那 春人
エリオット・ネス       /月城 かなと  エドナ           /透水 さらさ
ジョニー・トーリオ、アンドリュー・メロン    /夏美 よう   ジム・コロシモ(ビッグ・ジム)/朝風 れい
ジョージ・モラン(バグズ)  /香綾 しずる  デール・ウィンター        /舞咲 りん
フランキー・イエール、エドワード・オヘア    /久城 あす   アルバート・フランシス・カポネ      /有沙 瞳

★その他の皆様★
千風 カレン、雛月 乙葉、杏野 このみ、悠斗 イリヤ、桜路 薫、花瑛 ちほ、妃桜 ほのり、橘 幸、蒼井 美樹、彩月 つくし、沙羅 アンナ、叶 ゆうり、 彩波 けいと、陽向 春輝、月華 雪乃
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1929年、ニュージャージー州の刑務所。そこにはアメリカ一のギャングスター、アル・カポネが収監されていた。
彼は特別な房で、とある脚本を読んでいる。それは自分をモデルにした新作映画『スカーフェイス』の脚本だった。
カポネは脚本家であるベン・ヘクトを呼び出すと、「よく出来た脚本だが、真実と違う」とヘクト相手に自分の半生を語り始める。それは、とある青年がギャングスターと呼ばれるようになるまでの物語……。
また、スカーフェイスの名の理由となった顔の傷が何故ついたのかが明かされる真実の物語であった。
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やって来たのは、赤坂ACTシアター
ロビーには、だいもんサン(望海)のサイン付の酒樽が( ̄∀ ̄)

席は、2階J列6番。下手側です。

で、肝心の内容は

良かった!

ちょっと、ギャングを美化しすぎてる感もありましたが、宝塚的には良かったのではないかなと。

ではレポへ~。
かなり軽めに……

★全体の感想★

セットは巨大な酒樽が4つ舞台上にあり、それを裏返すと部屋のセットになっていたりして、工夫が凝らされていました。
樽の床部分は酒の名前が印字されています。
似たようなセットの舞台を観た事あるなと思っていたら、『シェルブールの雨傘』ですね。
あれも、円柱状のセットの裏側がセットになっていたりしましたよね(再演は分からないけど)。
どちらの装置も松井るみサンが作っているので似ているのは当然かな。

物語は、実在のギャングアル・カポネが主役。
彼は既に刑務所内で、自身を主役に据えた映画『暗黒街の顔役』(原題:『スカーフェイス』)の脚本を担当したベン・ヘクト(こちらも実在の人物)を呼び出し、真実を知って貰うため、回想形式で現在に至るまでの経緯が語られていく……という展開。

『暗黒街の顔役』は1932年の映画で、ジョン・ウェインの『リオ・ブラボー』や、マリリン・モンローの『紳士は金髪がお好き』なんかで有名なハワード・ホークスの監督作。
後に、ブライアン・デ・パルマ監督×オリヴァー・ストーン脚本の『スカーフェイス』としてリメイクされました。
今回の登場人物の関連作としては、カポネを追う刑事エリオット・ネスを主役に据えた『アンタッチャブル』なんかも有名ですよね。
同じくデ・パルマの作品ですが、こちらもTVドラマのリメイクなんですねぇ。
ベビーカーが階段から落ちていくシーンとかご記憶の方も多いかと。

今回の演出は、原田諒サン
彼の直近の作品は、テル様退団公演の『白夜の誓い』ですが、こちらが個人的にはイマイチだったのでそこまで期待はしてなかったのですよね(すみません)。
でも、良かったです。
主人公が宛書レベルでハマってたことや、群舞のカッコ良さ、キャストの魅力で持っていった感があります。
ただ、マフィアを主役にしている割にはあまりにも善人に描きすぎているところが非常に引っかかる部分でした。
宝塚なのでそこは仕方ないのかもしれませんが、折角マフィアが主役ならもうちょっと悪の魅力で見せても良かったのではないかなと。
“実は善人でした!”って展開だと、本人が回想している物語だから一気に胡散臭くなっちゃうんですよね。
そりゃ、自分に都合の良い事ばかり言うだろうよという感じで、カポネがめちゃくちゃ小物に思えてきます。
いや、カポネが決して大人物ではなかったという部分も描きたかったのかもしれませんが……。
あと、個人的にはマフィアや不良(一気にスケールダウン)は他人には迷惑かけまくりだけど、自分の周囲の人間には優しいってのは、よくある話だと思うので、カポネが夫人に優しくしているシーンは微妙に冷めどころだったりしました。いや、他人にも優しくしてたけど、そこも本人回想だから疑わしいというか……。
どうせなら、ネスの目線で描けば良かったのでは。
でも、前述の通り、そういうツッコミどころをキャストの魅力で大分カバーしていたので、最終的には楽しめました。
ちょこちょこ笑わせどころがあるのも力が抜けて良かったです。

ナンバーはそこまで覚えていませんが、禁酒法の歌は大分ダサかったです(オイ)。

トップ組の『星影の人』のしっとりした物語とは対極とも言える、マフィアの世界という対比も両方観ている人間としては面白く感じました。
層が厚くて安心ですな(どんな立場?)

では、お次はキャストさん感想へ↓
こちらも軽めに

アル・カポネ●望海風斗サン
今回の公演を支えていたのは、やっぱりだいもんサンだなと思います。
カポネを善人に描きすぎているというのは前述の通りですが、彼女に宛書されたのかなと思えば何となく許せるような気もします(笑)。

今回、少し新鮮だなと思ったのは“主演登場!拍手!”の宝塚のいつもの流れがなかった事ですかね。
サラッと登場して拍手するタイミングはあまりなかったような。

冒頭、現在のカポネから話が始まりますが、その後の回想シーンでの若い時分との演じ分けがとても上手かったです。
同一人物とは思えないぐらい声も佇まいも変貌しておりました。
酒場で働き始めたシーンでちょっと面白かったのは、ショーガール?みたいな子に「髪切った」だかなんだか言われて「全然判らない」と言った時の素のテンションっぽい感じがウケました。
カポネに笑わせどころは特にないですが、ここはちょっと笑えました。

カポネが一番ヘクトに知ってもらいたかったのは“顔の傷”の理由(確か)。
史実では、酒場で女の子に「いいケツしてるな」だか言って、彼女のお兄サンに傷をつけられたから~というのが理由になっているのだそう(よく知らない)。
でも、今回の映画では後に妻となるメアリーを庇って傷がついたというのが真実として語られています。
ここも、カポネ自身が語ったと思うと、「絶対嘘だろ、どこのイケメンだよ」とかツッコみたくなるところですが(コラコラ)宝塚及び、だいもんサンだと思うとまぁいいかなと思えてきます(笑)。

後半の、マフィアらしくなったところはカッコ良く、群舞シーンでは元花男らしい男臭いダンスが楽しめて満足でした。
一幕ラストの抗争シーンのカッコ良さは必見ものでした。
そして、彼女といえばやっぱり歌唱が気になりどころでしたが、これも大満足。
ラストの歌は大迫力で、ここに限らずソロ歌唱では一気に世界に引き込んでくれます。お見事。
2幕のネスとのデュエットも対象的な2人の姿と赤と青のライティングも印象的で(または旧レミゼの『ワン・デイ・モア』的で・笑)良かったです。

せしこ(大湖)との組み合わせもアダルティな雰囲気で○。
見た目的にも美しい。身長差や体格差は若干気になりましたが……(すみません)。

彼を追うネスとの組み合わせも注目どころでしたが、ネスの出番が遅いのでもうちょっと観たかったかなという感じでした。
2人並んで話している姿は男っぽくて良かったのですけどね。

途中までがカッコイイだけに逮捕が決まった時の焦った表情が引き立っていて○でした。
悪い奴なんだろうと判っていても、残念な気持ちに思わずなってしまうというか……。

脚本にツッコミどころは多かったですが、だいもんサンを楽しむという部分に関しては大満足な出来でした。
本公演も楽しみですな。


メアリー・ジョセリン・カフリン●大湖せしるサン
話が男臭いので、存在感的にあまりヒロインと言えるような人はいないなと思ったのですが、でも実質のヒロインは妻役のせしこですね。
毎回言ってると思いますが、とにかく美人です(今更)。
ショーガールなダンスシーンは体格も良いのでやっぱり見栄えがしますね。
身のこなしや表情もセクシー。
でも、歌唱力の方は変わらず課題ありですかね(すみません・汗)。
アップテンポな歌はかなり気になりましたが、スローテンポの歌は割りと聴けました。

マフィアの妻となる女性なので、肝が据わっていて包容力も感じさせるこの役は、せしこにはピッタリだったと思います。
実際のメアリーもカポネよりも2歳ほど年上だったらしいので、程よく姉さん女房っぽさもあります。
結婚してからの2人の絡みは愛し合っているのが伝わってきてキュンどころ満載でした。
2人の並びも美しい。
まぁ、前述の通り展開として冷めてしまった部分もあるのですが……(すみません)。

だいもんサンが次期トップだと考えると、ヒロイン枠は次期娘役候補に譲るべきなのかもしれませんが、個人的には彼女のヒロインをもう少し観たいななんて思っています。好きなので(本当に個人的)。


エリオット・ネス●月城かなとサン
『アンタッチャブル』で、ケヴィン・コスナーが演じていた役ですな。
今回演じるれいこちゃんは、コスナーほど渋くはなく、若くて正義感の強いしっかり者という感じでした。

エリオット・ネスとして本格的に登場するのは2幕から。
1幕ではアンサンブル的にちょこちょこ出ていますが、群舞でも大きくてカッコイイから目を引きます。
でも、ネスとしても実は少しだけ登場していて、それは抗争の最中にカポネが助けた若いカップルの2人。
それが後の彼と、恋人のエドナでした。ここで助けられた事と、カポネの人柄を目の当たりにした事が彼への逮捕を躊躇させるきっかけになります。

れいこちゃん自体はネスの人柄を丁寧に演じていて、またカポネとの会話シーンもだいもんサンに見劣る事無く、ほぼ対等にこなしていて感心でした。
落ち着いたお芝居が様になっております。
ただ、ネスの登場が遅いので男同士の友情を噛み砕くにはもう少し時間が欲しいなと思いました。
2人の並びも非常に良かっただけに勿体無い。
前述の通り、赤と青のライティングの中でのデュエットも印象的で、歌ウマ2人の歌唱は非常に満足度が高かったです。

ゆきえちゃん(透水)とは、ルパンに引き続きカップルですね。
今回はれいこちゃんの方がリードしているように見えたので、立場逆転ですな(笑)。

れいこちゃんは良かったけど、もう少しカポネやエドナとの絡みも観たかったし、葛藤シーンももう少し長く尺をとって欲しかったと思います。


ベン・ヘクト●永久輝せあサン
『暗黒街の顔役』の実在の脚本家ですね。
カポネの話の聞き手役として、最初と最後に主に出番があります。
実際、ヘクトはカポネより年上だったようですが、ひとこちゃんは明らかに年下の若手脚本家という感じでした。
一応、今回求められているキャラとしてはそれで良かったのだと思います。
瑞々しいお芝居が○でした。
歌はちょっと不安でしたが、思ったよりも歌えていました(オイ)。

カポネの真実を聞き、ヘクトは脚本を「こうして悪は滅びた」というラストから「世界はお前のもの」というラストに変更します。
実際の映画もそうらしいので、そこを知っているともっと楽しめたのかも。

☆その他の方々☆
まなはるは、カポネの手下役。最初のあどけない少年の演技が若く良かったのですが、徐々にカポネの子分として男らしくなっていくまでのお芝居も非常に良かった。

はっちサン(夏美)は、ギャングのジョニーとネスの上司のアンドリューという対極の二役を演じていました。ギャング役似合うなぁ。

がおりん(香綾)は、ギャング役ですが限りなく小物(笑)。
最低ですが、仲間に陰口叩かれていたりして、なかなか憎めない悪党でした。笑わせどころは大体彼女だったような。

ヒメ(舞咲)は、ショーガール役ですが、こちらもコミカルな役柄で面白い。

ゆきえちゃん(透水)は、ネスの彼女役で、今回はルパンから立場逆転。
それでも違和感なく観られました。ショーガールとしても登場します。

あすくん(久城)は、二役。カポネを裏切るエドワード役の眼鏡男子ぶりが実に素敵でした。フランキーとの演じ分けも◎。

くらっち(有沙)は、カポネの息子役。出番が少なかったのが残念ですが、少年役も可愛らしかった。


フィナーレは、フォッシー風というか『CHICAGO』っぽい感じでしたが、物語の舞台がシカゴだからですかね。

相当軽めなレポになってしまいましたがこんなところで。
相変わらず情報精度は激しく怪しいです(駄目)

だいもんサンの悪役の魅力をもう少し楽しみたかったなという気持ちは残りましたが、良い舞台だったと思います。
スーツ姿の男役陣や、ショーガール姿の娘役のセクシーさも楽しみの1つでした。
本公演も楽しみだな( ̄∀ ̄)

では、今更なレポでしたが、お付き合い頂いた方がいましたらどうもでした!

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