相変わらず時間経ちまくりですが……。
東宝版のエリザを観て参りました( ̄∀ ̄)
4回観たので、各日付のキャストを↓
“『エリザベート』~2015年6月12日(金)プレビュー公演キャスト【マチネ】”
エリザベート /蘭乃 はな エルマー /角川 裕明
トート /城田 優 シュテファン /広瀬 友祐
フランツ・ヨーゼフ /佐藤 隆紀 ジュラ /安部 康律
ルドルフ /京本 大我 リヒテンシュタイン伯爵夫人/秋園 美緒
ルドヴィカ、マダム・ヴォルフ/未来 優希 シュヴァルェンベルク侯爵 /朝隈 濯朗
ゾフィー /剣 幸 ラウシャー大司教 /安部 誠司
ルイジ・ルキーニ /尾上 松也 グリュンネ伯爵 /石川 剛
マックス公爵 /大谷 美智浩 ヴィンディッシュ /真瀬 はるか
少年ルドルフ /大内 天
★その他の方々★
奥山 寛、上垣内 平、川口 大地、後藤 晋彦、白山 博基、高橋 卓士、田中 秀哉、福永 悠二、横沢 健司、石原 絵理、折井 理子、可知 寛子、七瀬 りりこ、原 宏美、福田 えり、真記子、松田 未莉亜、百千 糸、安岡 千夏、山田 裕美子
トートダンサー/乾 直樹、五十嵐 耕司、岡崎 大樹、小南 竜平、鈴木 明倫、田極 翼、楢木 和也、宮原 由紀夫
裁判官の声/菅生 隆之
席は2階M列5番。最後列下手側。
“『エリザベート』~2015年7月1日(水)公演キャスト【マチネ】”
エリザベート /蘭乃 はな
トート /井上 芳雄
フランツ・ヨーゼフ/佐藤 隆紀
ルドルフ /京本 大我
ゾフィー /香寿 たつき
ルイジ・ルキーニ /山崎 育三郎
少年ルドルフ /大内 天
席は2階C列53番。上手側
“『エリザベート』~2015年7月3日(金)公演キャスト【マチネ】”
エリザベート /花總 まり
トート /井上 芳雄
フランツ・ヨーゼフ/佐藤 隆紀
ルドルフ /京本 大我
ゾフィー /剣 幸
ルイジ・ルキーニ /尾上 松也
少年ルドルフ /大内 天
席は1階U列11番。下手側。
“『エリザベート』~2015年7月22日(水)公演キャスト【ソワレ】”
エリザベート /花總 まり
トート /城田 優
フランツ・ヨーゼフ/佐藤 隆紀
ルドルフ /古川 雄大
ゾフィー /香寿 たつき
ルイジ・ルキーニ /尾上 松也
少年ルドルフ /池田 優斗
席は1階U列21番。センター寄り下手側。
劇場内垂れ幕。裏表の組み合わせはこれで合ってると思うのですが(^^ゞ
こちらは、劇場内の撮影スポットですな。
今回のエリザは、キャストも演出も一新との事で、期待半分、不安半分という感じでした。
いや正直、↑あの珍妙なポスターヴィジュアルを見た時、及び一部のキャストが決まった時には不安だらけでしたが、概ね成功した新版だったと思います( ̄∀ ̄)ヨカッタ!
ただ、本当に一部のキャストに対しては未だ怒りが抑えきれないレベルで、東宝にも色々と文句をつけたいところです(初っ端からすみません・汗)。
では、レポへ~
★全体の感想★
衣装とセットは全体的にかなり変わっていました。
開演前から幕がなく、セットが剥き出し状態。前回セットに比べるとかなり豪華になった印象でした。
前回と比較してどうと言うのはキリがないほどに全く別セットになっているので、ざっくりと気になったセットを。
●崩れ去った神殿のようなセットと石棺のような四角いセット。
石棺のようなものは3つほどあり、移動出来るようになっている上に色々とギミックも仕込まれていて、キャストはその上で芝居する事も多いです。
でも、石と石の間に隙間が開いていたりして、ちょっと危ないなと思いながら観ていました。
●トートはゴンドラでなく、黒い大きな羽根を背負って垂直に降りてくる
初っ端から爆笑待ったなし!中二病まっしぐらの登場シーンに変貌していました(笑)。
というか、羽根は置いて行かないといけないですしね……『ダンス・オブ・ヴァンパイア』の伯爵風ですな。
●私だけのすべり台
『私だけに』の歌唱の際、石棺セットの上の部分が飛び込み台のように跳ね上がり、シシィがそこからすべり台のように滑り落ちるという変わった演出?がされていました。
某Tサマが「乗り越えようとする歌なのに、滑り落ちるのはない」と言っていて確かにと思いました(笑)。
私は楽しそうだなと思いながら観ていましたが(駄目)。
でも、越えられない壁もあるかもしれないけど、負けずに乗り越えていきたい!みたいなニュアンスなのかなと。
●鏡張りの大きな窓のような?セット
これは、ちょっと宝塚版を彷彿とさせました。
鏡はモロに客席を映し出していて、客席がこの裁判の傍聴人だよ~みたいな意図があるのだと思います。
●大きなハプスブルグの紋章
こちらは、後方にぶら下がってる?ような状態で、所々で象徴的に登場します。
ライトも仕込まれていて、色とりどりに光るのが若干品がないなと思いました(すみません・汗)。
個人的に気になったのは……体操室のセット。
前までは、「吊り輪高いだろ!体操選手か!」とツッコんだものでしたが(オイ)、今回は現実的な高さになっていました。ぶら下がり健康機みたいな(台無し)。
あとは、精神病棟。混乱して患者達が騒ぎになる演出入っていたり、シシィのソロの合間に患者達が彼女を嘲笑う演出(世間に笑われている、自嘲しているというのの例えだと思いますが)が入っていたりしました。
嘲笑う演出は説明的すぎる気がして私はあまり好きではありませんでした(すみません)。
好きだった演出は、『不幸の始まり』のエリザベートが持ち上げられるところとか、『闇が広がる』が始まる時、ハーケンクロイツの旗の後ろからトートが出て来るところですかね。
『ミルク』のダンスでルドルフ役が紛れる演出が復活したのも注目どころでした。
逆に、好きじゃなかったのは、『我ら息絶えし者ども』のサビの部分で死人役の面々が階段をバタバタ降りて来るところ。
普通に急いで降りて来ていて、あまりに人間味がありすぎて嫌でした。
発車ベルが鳴った後の駅のホームみたいだった……(コラ)。
あと、『計画通り』で、シシィの持っている
マカロンが凄くデカイ
あれは、ウーピーパイレベルだったと思う……(とてもどうでもいいところ)。
とりあえず、こんなところで……。
他にも色々あるんですけど、本当にキリがないので(汗)。
ナンバーに関して、前回演出からマイナーチェンジがあったところは、冒頭の『エリザベート大合唱』ですかね。
前回まではほぼルキーニが歌っていましたが、今回はトートも参加。ウィーン版に近くなりました。
衣装も結構変わってますかね。
トートはキャストによって変わるし、同じキャストでも年によって変わったりしていましたが、シシィはそこまで変化がない印象だったので新鮮に感じました。
でも、心なしかスケールダウンしたような……。
三色旗ドレスってもっと立派じゃなかったでしたっけ?
思い出補正ってやつかしら……。
それはともかく、このシーンは判り易くなっていて、民衆達が掲げる三色旗を下げさせるという演出が加わっています。
皆が三色旗ドレスを喜ぶのは、その矢先の出来事だったからなんですね。
今まで、「あのドレス超ダセェ!」と思っていた事を深く反省致します(本当に反省しろ)。
内容は大きく変化はありませんが、ただ、前回演出時に石川禅サンが言っていた
「全員が棺桶に入ったところから話が始まるんです。彼らは同じ事を何度も繰り返していて、それがハプスブルグの呪いなんです」
という設定はなくなっていると思います。
前回演出は棺桶に入ったシシィが再び出てくるところから始まるので、繰り返しているのが公式設定なんだろうなと思いましたが、今回はそもそもシシィが棺桶に入らず、彼女の初登場も子供時代の姿から始まるので(前回は死に装束?から子供時代の衣装に着替える下りがある)、別に繰り返しではないんですよね。
物語のニュアンスが前回とは違うのかもしれません。
私が今回感じたのは単純に
物語の流れが今までで一番判りやすい
というところでした。
それは、演出のお陰なのか、キャスト陣のお芝居のお陰なのかはちょっと分からないのですが(駄目)。
個人的に今までで一番謎だったのは、
トートは、シシィが自ら死を選ぶ事を望んでいたのに、何故最終的にルキーニに殺させたのか。
という事。
しかも、途中シシィが「殺してくれ」と言っても拒みますしね。
これが、どんなに考えてもなかなか答えが出ずに毎回悩んでいたのですよね(悩むほどの事でもない)。
今回の公演でそれがストンと落ちたんですよ。
以下、勝手な解釈
思い返すと、劇中で明確に死ぬシーンが出てくるのは、ゾフィー、ルドルフ、シシィの3人。
その誰もが例外なく、生きる希望(=誰かとの繋がり)が断たれた時にお迎えが来てるんですよね。
ゾフィーは息子のフランツ、ルドルフは母親のシシィ、シシィは夫であるフランツ。
だから、トートはシシィから生きる意味を一枚一枚剥ぎ取っていこうとするのですよね、夫、息子、美しさ(これは加齢のせいですが)。
トートが「殺してくれ」と懇願するシシィを「まだ俺を愛してはいない」と突き放すのは、彼女とフランツの繋がりが断たれていなかったから。
その流れでの『夜のボート』だと思うと、今までと見方が変わってきます。
シシィは最後までフランツの事を愛していて、でも、あのナンバーですれ違いが決定的になってしまい、彼女の最後の生きる希望=人との繋がりが断たれてしまった。
だから、満を持してトートが迎えに来るのですよね。
トートはシシィの周りに存在している不穏な空気の擬人化であって、シシィの負の部分の分身=概念でしかないので、ラストに2人が“♪命委ねる 私だけに”、“♪俺だけに”と別の事を言うのも納得。
トートが分身だと思うと、結局命委ねたのはシシィ1人なので、矛盾はないですよね。
漫画やアニメだと
敵:「俺は、お前の不安な心の分身だ。お前は俺だ」
主人公:「いや、嘘だ!」
みたいな流れはよく見かけますが(謎)、エリザもそういう側面があったのかもしれません。
どうしても、宝塚脳の演出家が作っている(オイ)ので、シシィとトートの愛の物語という考えが捨てきれないのですが、東宝版もウィーン版もあくまで“エリザベートという一人の女性の物語”ですしね。
トートは『モーツァルト!』におけるアマデのような存在(厳密に言うと色々と違うけど)という考え方もできるのかも。
私自身がそこまで前演出に思い入れがないので(オイ)、新演出は楽しく観られました。
キャスト陣も一部を除いて良かったですし、少なくとも去年の花組エリザで不完全燃焼だった想いは浄化できました(すみません)。
では、お次はキャストさん感想へ↓
一部、かなりキツイ口調になっていると思われますが、読まれる方は予めご容赦お願いします……(汗)
エリザベート
蘭乃はなサン(6/12、7/1)
最初に観たシシィは彼女でした。
え~と、これから相当キツイ言葉が数々飛び出す事が予想されます……。
宝塚エリザも含め、彼女のシシィが好きだった方には、かなり不快になる言葉もあると思われますので、そういう方は回れ右、もしくは読み飛ばしを推奨致します。
以下の他のキャスト感想も、別に読む価値もない内容なので(駄目)、個人的には回れ右を強くお奨めします……。
怒りのあまり感情的な文章にもなっていると思うので、その辺りも御了承の上で、それでも尚、読んで頂けるという方はちょっと下へ
いや、正直、こんなに酷いシシィは初めてです(早速……)。
キャスティング段階で色々と文句はありました。それなりに褒められていたであろう花組の『エリザベート』は少しも良いと思えないどころか、全然入り込めなかったことは以前のレポでも書きました。
蘭はなちゃんに関しても、歌の多少のスキルアップ以外で良い部分を見つける事が私にはできませんでした。
それでも、東宝のエリザベートはシシィがタイトルロールで主役。
宝塚とは多分音域も違うし、蘭はなちゃんも長くトップ娘役を務めてきたのだから意地を見せてくれるのかな?と一縷の望みに賭けていましたが、まさかの
宝塚版より、更に駄目な状態で現れる
という、考えられない事態に陥っていて絶望感を味わいました。
全般に渡って声が裏返る、ファルセットは下手、一曲としてまともに歌えているナンバーはありませんでした。
音程がとれている部分も、裏返らないようにソロソロ歌っているのが丸分かりで聴けたもんじゃありません。
更に酷かったのはお芝居。
出ない声をカバーする為に声を張り上げたりと、誤魔化し方が素人並で、そのせいで芝居の整合性がとれなくなったりととてもプロとは思えない有様でした。
今までも、確かに歌えないシシィはいました。
その度に残念ではありましたが、芝居の面でそこまでがっかりしたシシィはいませんでした。
むしろ、音程が取れなかったとしても、他の面でカバーしていたり宝塚特有(?)の力技で何とか……という事も多々ありましたが、蘭はなちゃんにはそれすらないので、鑑賞中は怒りが抑えきれず客席で悶々としていました。
一応、要所を順を追って……
『パパみたいに』プレビュー時は、彼女が歌いだした瞬間に客席が凍りついたのが判りました。
全然声が出ていない。声も裏返りっぱなしで、正直私も客席で嫌な汗をかきました。
この曲は、お花様もキツそうだったので、宝塚とは音域が違うのかもしれません。
お転婆ぶりは判りやすかったので、そこは良かったと思いますが、歌がここまで酷いとそれぐらいの良い部分ではカバーしきれないかと……。
『最後のダンス』ダンサーさんなので、ここは良かったと思います。
動きもスムーズ。
『私だけに』これがまた……。歌もそうなんですが、それまでの流れが良くなかった。
彼女のシシィはかなり気が強くて、主張が強いんですよ。
それが悪いとは言いません。でも、その後に自我の目覚めを歌う事を考えるともうちょっと力加減が必要だったのではないかと。
ネックなのは、宝塚版から改善する事がなかった、“ワガママな小娘感”。
これが、ラストまで付き纏います。
シシィがこう見えてしまうと、このナンバーが“自由を求めた女性の自我の目覚め”ではなく、“ワガママを貫き通そうと決意した女”の歌という、誰にも共感のできないナンバーになってしまうのですよ。
その上、彼女に不自由を強いているとされるゾフィー達が全面的にマトモに思えて、「こんなキツイ嫁もらって可哀想……」と、そっちに共感が移っちゃうのですよね。
こんな子供みたいな人には、そりゃあルドルフだって任せられないもの。
いや、新たな切り口だ!と言われれば、確かにその通りなので何も言えないですけどね……(遠い目)。
『結婚生活の様子』ここも、地声で通そうとしておかしな発音になっていたりして、かなりのアチャー状態でした。
どの歌なら音域が合うんだい、君は……。
『私だけに(リプライズ)』ここも、宝塚版から変わらず。全く女王感がありませんでした。
それまでの芝居でも女王を印象付けられていなかったので仕方ないとは思いますが、オーラって一朝一夕ではどうにもならないですよね……。
2幕『私が踊る時』こちらも、本当に酷かった……。
地声とファルセットの切り替えがあまりに下手で、声が彷徨いまくっていました。
地声で通すところも『結婚生活の様子』と同じく変な発音になったりしていてがっかり。
でも、ワガママで気位が高いところだけはやたらと主張されていて、余計に腹が立つというか……(すみません)。
“♪人に認めさせた”という歌詞も、相当ツッコミどころ満載になっていました。
でも、城田トートは受け方が上手くて、彼が悔しそうにしている事によって、彼女の芝居も何とか成り立っていたと思います。偉いよ、城田……(贔屓)。
『精神病院』ヴィンディッシュの方が女王の威厳があるという残念な事態に(汗)。
『夜のボート』今回、彼女を観て、ここまでの積み重ねが本当に重要である事を思い知りました。
いざ聴いてみて驚いたのは、
“♪あまりに多くを望みすぎるよ” “♪少なすぎるわ”
のやり取り。これは、どのシシィで聴いても夫婦すれ違いが判る歌詞でした。
説明するまでもないですが、シシィが望んでいたのは自由ただ一つだったけど、それが判らないフランツには多くを望んでいたように見えていたということですね。
それを理解して聴いた私にすら、彼女はフランツの言うように“多くを望みすぎた人”に見えたのですよ。
そのせいで、“少なすぎるわ”の返事に、かなり違和感を覚えましたし、「いやいや望んでたでしょ」とツッコミたくなってしまいました。
ワガママ娘がネックというのは正にここで、それまでの流れでシシィが自由ただ一つを求めた女性に見えないと、こういう事が起こってしまうのだなと、ある意味新鮮だったというか……。
いや、こんな新鮮さはいりませんでしたけど(オイ)。
歌唱もかなり問題がありましたが(というか話にならないレベルでしたが…)、何より一番問題だったのは、ここを表現できなかった事だと思います。
老いの演技に関しても、ただの低音棒読みだったので工夫が必要じゃないかと。
ラスト、今回シシィ自ら服を脱ぎ捨て白い衣装になるという演出に変更になりました。
この演出自体は感動的で良かったと思いますが、蘭はなちゃんのこれまでの流れではとても感動はできませんでした。
自分のワガママで首を絞めてきたように見えた彼女が自由になったところで、感動が生まれる訳はありませんので……。
ただ、もし彼女のお芝居でも物語が成り立つ解釈があるのだとすれば、
ハプスブルグの悲劇
という視点だと思います。とんでもない嫁をもらったばかりに没落してしまったハプスブルグ家の悲劇……(汗)。
そう見ればしっくりくるんですが、話が変わっちゃいますしねく(´□`;)
彼女がキャスティングされた経緯に、どんな事情があるかは判りません。
でも、こんな状態で舞台に立たせて良いものなのか、東宝には本当によくよく考えて頂きたいです。
東宝エリザベートの歴史に完全に泥を塗ってしまったと言って過言ではないと思います。
来年もエリザの公演が決まりましたが、彼女のリベンジの為にお金を払うのはまっぴらなので(さすがにもうチケは獲らないと思いますが…)別の方のキャスティングを説に願います。
彼女に対して客席がどういう思いを抱いていたかは、いつぞやのカーテンコールで、彼女が振り向いた瞬間に拍手が起きなかった事でも明白だろうと思います。
………
………本当に申し訳ございませんでした(汗)
でも、未だ怒り収まらずで、書かずにはいられませんでした。
エリザは好きな演目の一つだし、再演を楽しみにしていたのに、ここまで酷い役者を平気で舞台に上げるとは予想外でした。
好きな方には、大変申し訳ございませんが、これが私の正直な感想です。
ご容赦……とはとても言えない文章になってしまいましたので、読んでしまった方は、ただの口うるさいオバチャンの独り言だと思って華麗にスルーをお願い致します。
花總まりサン(7/3、22)
お花シシィは、以前ガラコンで少しだけ観ていますが、その時から東宝での登板をお待ちしておりました。
宝塚初演のトートは既にシシィを経験済みですが、やっと初演シシィが観られて嬉しい限りです( ̄∀ ̄)
いやー、非常に良かったです。
欲を言えば、もう少し力強いシシィの方がウィーン版に近い東宝版の理想ではあります。
歌唱に関しても、安定感はありましたが声が細いので、やっぱりガンガンくる方がそれっぽいのかなと。
でも、お芝居の一貫性や判り易さに関しては目の醒める思いでした。
今回、演出が変わったのでそのお陰でもあるとは思うのですが、彼女のお芝居で補完できたところも多かったです。
一応順を追って……
相当飛ばし飛ばしですが(^^ゞ
『パパみたいに』ここは、やっぱり音域がキツそうですね。
でも、パパへの愛情、本当にパパになりたいのもちゃんと伝わってきて◎。
ここが印象的だと、コルフ島のシーンが生きてきますし、後に不自由になる彼女の人生を思うと悲しくもあります。
お転婆だけど、育ちの良さも感じられたので、シシィって本当はこんな娘だったのかもしれないなと。
元男役の方が演じると、育ちの良さよりお転婆が勝りますからね(笑)。
しかし、お花サマ驚異の若さですね……。年齢不詳だわ(汗)。
『不幸の始まり』ここの不安そうな表情がドラマチックで好きです。
後の『最後のダンス』では、トートに(特にプリンス)ぶんぶん振り回されていて可哀想でした。細いから余計に……。
あと、どうでもいいですが、お花サマって王冠を落としそうには見えませんよね(笑)。
『私だけに』は『皇后の務め』からの流れも含めて良かったです。
「1人にして下さい」の台詞の溜め方も個人的に好きでした。ただ、シュガーフランツがその間を埋めるお芝居ができていなかったのが、若干残念ではありましたが(すみません)。
続く、『私だけに』は後半につれ徐々に盛り上がっていくという理想的な歌い方。
そして、自我の目覚めという点でも判り易く、シシィの決意の表情で既に泣けます(早)。
『私だけに(リプライズ)』ガラコンでも思っていましたが、ここの女王感は素晴らしい、
登場した瞬間から、シシィではなくてエリザベートに変身したというのが判ります。
旧演出に比べると、そこまでドーンとした登場ではないので、あまり誤魔化しはきかないと思うのですが、そこを上手く見せていたのは凄いですね。
2幕『私が踊る時』これは、断然城田トートとの方が面白かった。
プリンストートに対しては、そこまで強気には出ていませんでしたが、城田に対しては余裕と強気の表情で対抗していて非常に見応えがありました。
そこまでガンガン強気の役のお花サマを観た事がなかったので、新鮮に感じました。
また、サイズの差も良いのですよね~( ̄∀ ̄)
個人的に好きな組み合わせは、お花×城田コンビでした。
『微熱』老いの演技も自然で良かったです。低音もわざとらしすぎずで。
トートに追い詰められた時の狼狽した表情が臨場感があって良かったですね。
特に城田トートはデカいので、表情がより切羽詰まったものに感じられました。
『パパみたいに(リプライズ)』これは、冒頭のシーンが際立っていたので、しみじみしたシーンになっていました。
今回演出は、何となくパパとシシィの繋がりが希薄になったような印象があったのですが、ここは上手く繋がってましたね。
『死の嘆き』ルキーニに写真を撮られた後の立ち去り際の悲鳴のような声は1回目と2回目でははっきり違いました。
その時の気持ちで言い方を変えているのだろうなと思います。ライブ感ですな……。
あと、ここでのフランツとのやりとりで、シシィはまだフランツを愛している気持ちが残っているのだなと気付けたので、全体感想で書いた解釈に繋がりました。
トートが彼女の中にまだフランツがいる事に気づいて突き放すのも納得。シーン1つ1つがちゃんと引き立ってますな。
『夜のボート』最後に観た日のシュガーフランツの台詞に万感の想いを感じたので、その日のこのナンバーは非常に胸に迫りました。2人のハーモニーも◎。
これ以降、シシィが生気がなく本当に死んだようになっているのが判ったので、トートのお迎えは必然だと感じました。
夫との最後の繋がりも断たれてしまったし、彼女にはいよいよ“死”で得られる自由しか残っていなかったワケですからね。
お花サマの集大成は、とにかくラストの表情にあります。
これが、本当に泣かせるのですよ(ノД`)・゜・。
今までのシシィ……蘭はなちゃん含みますが、死ぬ事によって解き放たれてリセットされた表情をしていた印象だったのですよね。
でも、お花サマは全く違って、懸命に生き抜いてきた人が疲労しながらも噛みしめている自由という感じなんですよ。
やっと辿り着いた山頂で、最高に美しい景色を見たかのような表情。
その表情は、再びシシィを演じられたお花サマの喜びのようにも見えたし、何か色々こみ上げてくるものがあって、泣かずにはいられませんでした。
ラストシーンだけでも、本当に感動的で観る価値がありました。
お花サマは、歌唱に関しては少し物足りない部分もありましたが、音域のカバーぶりを聴くにボイトレも相当頑張ったのではないかなと思います。
でも、それ以上に細やかなお芝居が何より魅力的でした。
ラストは、本当に彼女と共に人生を歩んで来たような気分にさせてくれて、胸が熱くなります。
やっぱり、日本初演シシィは伊達ではなかったなと思い知らされました。
次回、続投するかは判りませんが、是非また彼女のシシィが観たいです。
更に進化するかもしれませんし( ̄∀ ̄)
期待しております。
トート
城田優くん(6/12、7/22)
最初に観たトートは彼でした。
5年ぶりのトート復活ですな( ̄∀ ̄)オカエリ~
一度いなくなってしまった時は、もう出戻りはないだろうなと思っていましたが、何となくスケジュール的にもプリンストートと相反する存在としても、経験者の城田の出戻りは可能性大なのでは……と期待していました。
5年前の城田は、悪い意味でなく存在感の薄い死で、正に“彼女に付き纏っている死の影が具現化したもの”というイメージでした。
アンニュイでそっと彼女に寄り添っているトート。
でも、今回の彼はまた前回とは違い、やや肉食系にシフト。存在感も前回よりあるし、ちょっと尊大になったような気も(笑)。
良い意味でいやらしさもアップしていて、以前より湿度が増して絡みつくような雰囲気になっているというか……物理的にも、シシィには接近戦を挑んでおりました(笑)。
人間っぽさがないのは以前と変わらず。
ここは、城田トートの最大の魅力ですね( ̄∀ ̄)
衣装もイメージが変わりましたかね。あまり厚ぼったい服はなかったような。
露出度は上がっているように見えますが、良く見ると刺青の入った襦袢のようなものを着ています。
城田トートは目元メイクが黒くてちょっと怖かったので、黒い衣装の時は
宝塚的な世界観にいきなり出てきたDIR EN GRAY
という印象でした(DIRファンの方、引き合いに出して申し訳ございません)←他のヴィジュアル系バンドの名前が浮かばなかった
歌唱に関しては、以前より大分パワーアップしていると思います。
他演目を観ても感じてはいましたが、同じ役で改めて観るとよく違いが判りますね。
声も太くなりました。
でも、ザ・ミュージカルという歌唱とはまた違い、良い意味であくまでカジュアル。
一応順を追って……。
ブロローグのルキーニとのデュエット部分は舞台前っ面の階段のところにシンメトリになって(多分)歌います。
高音シャウトを交え、大いに盛り上げてくれました。
『愛と死の輪舞』は思ったより印象が薄いかなと思いました。
時間が経ってしまったからそう感じるのかもしれませんが……(駄目)。
でも、歌唱に関しては以前より上手くなったので聴き応えは増しましたね。
『不幸の始まり』ここの、「すべて、汝の意志であることに間違いはないか」の後の、笑い声のエコー。
2010年は、単調であまり色がついてないなと思ったのですが、今回は色んな笑い声が聴こえたので楽しかったです( ̄∀ ̄)
思わぬところが成長!
『最後のダンス』ここは、冒頭は座って歌っているのが印象的でした。プリンスは普通に立ってたので彼仕様ですね。
全体的に肉食にはなったけど、少しアンニュイ部分も残っとりますな。
ここは、フェイクも色々工夫していて良かったです。
思ったより踊ってましたね(笑)。
最後通告のシーン、以前までは照明がつくとトートがデスクのところで待機していましたが、今回はイスの後ろからぬっと現れていました。これは両トート共通ですが。
前より死神っぽいですね。
ここも、城田トートは大分接近戦でいやらしい感じで、本当にありがとうございました(唐突なお礼)
2幕。個人的に好きなナンバーで見所なのが『私が踊る時』
これは、各シシィによってはっきり演じ分けをしていました。
気が強い蘭はなシシィに対してはムキになって。
余裕綽々のお花シシィには余裕で。
特に、お花シシィとの組み合わせは余裕の表情の中にバチバチッと火花が見えるようで見応え十分でした。
城田トートってお花シシィと同じような表情をしている事がちょいちょいあるんですよね。
彼はお花シシィの鏡になる瞬間があって、その芝居を観た時に、トートってシシィの分身なんだなという解釈もありえる事に気付きました。
そこも含め、全組み合わせの中で個人的にお気に入りなのは、お花×城田コンビでした。
『ママ、何処なの?』、子ルドへの対応は優しく妖しくな感じ(どんな?)。
体操室のシーンは、噂の壁ドンが観られました(笑)。
体格差もあるので、なかなか良い壁ドンですな( ̄∀ ̄)
『闇が広がる』ここも、振り付けから何から大分変わってますね。
城田トートは、プリンスが立膝でルドと間を詰めていたところを、四つん這いでバタバタッと近づいてきて怖いです(笑)。貞子……(オイ)。
まぁ、ここも人外っぽい動きで良かったんですけどね。
ここのルドルフとの組み合わせ。
京本ルドは、幼いルドなので騙したトートが断然酷く見えます。何も知らない彼を正にそそのかした感じ
四つん這い攻撃にも怯えていたような……(笑)。身長差も萌どころですね( ̄∀ ̄)
古川ルドは、国の為に何かするのは決まっていて、その決意の矢先、「王座なんてどう?」上手く吹き込んだように見えました。
『マイヤーリンク』のキスシーン。
ここは、今回の演出からルドの方からキスをしに行くようになりましたね。
京本くんよりも古川くんの方が相思相愛っぽく見えました(何の話?)
いや、ウェルカム感があったというか(笑)。
頬に添えられる手がいやらしい( ̄∀ ̄)ヒュー←何?
これは、それぞれのルドの死の向き合い方によって見え方が違いますかね。
ラスト、シシィとのキスシーンは長いというか、ディープでした(言い方)。
最後の歌詞、“♪命ゆだねる私だけに”、“♪オレだけに”。
お花シシィの分身に見えた城田トートの“♪オレだけに”は“オレ=シシィ”なのだなと思いました。
2人が違った歌詞を言っていると思い、色々と辻褄が合わないようなと感じていましたが、2人は同じ存在だと思うと歌詞に矛盾はないので納得ですね。
トートはシシィの不穏な影、彼女の不安の擬人化、概念でしかないのだなと思いました。
と、これは前述の通りですね。
城田の方が判り易かったですが、プリンスの方も基本は変わらないかと。
城田トートは、前回よりも更にパワーアップしてとても見応えのあるトートに変身していました。
惜しいところがあるとすれば、姿勢の悪さですかね。
首が前に出ているのが気になる……(すみません)。
でも、それ以外は、初出演時と変わらずに好きなトートでした。
次回の公演にいるかは分かりませんが、できればもう一回観たい!
井上芳雄くん(7/1、22)
皆が待ち望んでいた、プリンスのカムバックですね( ̄∀ ̄)
ただ、一部のキャストのせいで、カムバックの話題性が薄れてしまったのが残念ですが……(すみません・汗)。
今回観て思ったのは、2人のトートは“補い合っている”という事。
初めて、『モーツァルト!』を観た時も、Wヴォルフだったプリンスとあっきーは補い合っていて、2人観ると補完できる部分があったのですよね。それと似たものを感じました。
2人は全く違うタイプのトートで、
城田=完全に人外、黄泉の帝王と王子の中間
井上=ほぼ人間、黄泉の跡取り王子←上に帝王がいそう
というイメージでした(謎)。
あと、メイクがちょっとイマイチでしたかね(すみません)。
目下のラインの入れ方があまり上手くないというか……。もうちょっと似合うメイクにした方が良いのでは……
城田は何だかんだ経験者だけあって慣れているなと思いましたが、プリンスはまだ硬いかなと思うところがありました。
もともと、硬い芝居をする人だとは思いますが(オイ)。
それでも、頑張って全体的にドヤなお顔を作ったり、普段と違う事をしようとしていました。
あと、今までのプリンスの役柄であまり意識した事がなかったのですが
物凄く心の闇を感じる
(笑)←笑うな
城田は全体的に人間味がなく、概念としての要素が強いですが、プリンスは物凄く病んだ人という感じで人間味満載でした(笑)。
シシィへの愛情表現も、黄泉の帝王なりの愛情表現ではなくて、病んだストーカー男の歪んだ愛情表現という言い方が一番しっくりくるような(オイ)。
プリンスは苦悩役が上手い人で、考えてみればそれなりに闇の部分も表現していたような気もしますが、病んでいると思った事はなかったので、そこが非常に新鮮でした。
身のこなしに関しては城田トートよりキレイだったと思います。
指先とか、神経が行き届いてますね。
一応順を追って……
『愛と死の輪舞』、これはちょっと物足りなかったかも(すみません)。
多分、他役だったら情感たっぷりに歌えるのだろうと思いますが、トートという特殊な役だったから仕方ないのですかね。
キャラに引っ張られ過ぎているような。
プリンスだったら、もっと恋をした喜びなどを含めた、違う表現で歌えるのではと勝手に思っているので、今後に期待という事で……(どんな立場?)。
『最後のダンス』、城田とは対照的に歌い始めは立っています。
シシィの事をぶんぶん振り回しながら歌っていて、ちょっと可哀想(笑)。
ここの表情なんかも、病んだ感じで良いですね。
歌い終わりでマントをバサッとするのが好きです( ̄∀ ̄)
あと、個人的に面白かったのは、シシィの娘の死体を出した時の、如何にも嬉しそうな顔(汗)。
精一杯の愛情表現だったんだね……間違ってるよ……(コラ)。
2幕、『私が踊る時』、こちらは城田の方がシシィとバチバチ感があって楽しかったですかね。
バチバチしてないワケじゃないのですが、緩めというか。
お花シシィに関しては、彼女の当たりもそこまで強くなかった気がします。
『ママ、何処なの?』ここは、プリンスが表情豊かで面白かった( ̄∀ ̄)
子ルドが“♪猫を殺した~”と歌うと、ビックリした表情をしたり、うんうん、すごいねぇ~みたいな表情をしたり、結構優しそうなお兄サンでした(笑)。
でも、子供を騙すならその方が正解かもしれません。
『闇が広がる』ここは、京本ルドとの組み合わせしか観られていませんが、なかなか面白かった。
京本ルドがあまりにあどけない上に、トートに乗せられてすっかり希望に目を輝かせているのに対し、プリンストートはしてやったりな表情で、本当に京本ルドが気の毒で仕方なかった(ノД`)・゜・。
『マイヤーリンク』のキスシーン、プリンスの方が長かったかな?
どちらにしても、今回トートはされる側ですからね( ̄∀ ̄)
面白かったのは、『死の嘆き』。
プリンストート、“♪まだ 俺を愛してはいない”と言った後、悔しそうに床を叩くんですよね。
お前は、尾崎豊かよ。
とツッコミたくなるところでした(尾崎は別に床は叩いていないと思いますが、何となくのイメージ)。
そういえば以前、1幕最後で壁を叩くしんでぃトートを観て同じツッコミをしたような(笑)。
ここも、なかなか人間味満載でした。
ラストは、時間が経ってしまったのでそこまで覚えてないのですよね……(駄目)。
どちらかと言うと、ここはシシィの表情に注目してしまいがちなのでく(´□`;)
でも、死んだシシィを壁に寄りかからせる演出ってどうなんですかね←そこ?
何か適当な感じで終わってしまいましたが、プリンストートと城田トートはどちらも違った個性で、見比べる楽しみがありました。
城田トートはほぼ完成されていると思いますが、プリンスはまだ模索中という感じがしたので、今後また変わっていくのだろうなと思います。
きっと、長くキャスティングされるでしょうし、来年も期待しております。
字数制限に引っかかりそうなので分けます。よろしければ、次回もお付き合いをm(_ _)m