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あの時言えなかった言葉たち~『東京虹子、7つの後悔』 byキ上の空論

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相変わらず時間が経ちまくりですが……。

MITAKA Next Selectionの二作目です。


“『東京虹子、7つの後悔』~2015年9月5日(土)公演キャスト【ソワレ】”

季子(虹子の娘) /斉藤 ゆき
奈津(虹子の叔母)/石井 舞

【中学時代】
遥(虹子と同じクラス)/酒井 桃子(あんかけフラミンゴ)
翠(虹子の友達)   /三品 優里子
暁代(虹子の友達)  /栗又 萌(Dotoo!)

【中学~高校】
黄多川(虹子の初恋相手) /伊与勢 我無(ナイロン100℃)
赤城(翠と暁代の遊び相手)/鈴木 啓司(劇団銅鑼)

【高校時代】
冬美(赤城の元恋人)      /渡辺 実希(天幕旅団)
紫苑(虹子と同じクラス、園芸部)/三浦 真由

【高校~大人】
愛花(虹子の親友)/藍澤 慶子

【大人】
青木(小説家、後の虹子の夫) /藤田 雄気
橙野(虹子が働く出版社の先輩)/安藤 尚之(宗教劇団ピャー!!)

【現在】
七瀬(季子の親友)/橘 知里(team Genius bibi)
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13歳の虹子は、母を亡くし、母の妹であるナツに引き取られた。
大好きだった街を出て、ナツが住む東京へと向かう事となる。
しかし、新しい環境に馴染めない虹子は「吃音症」になってしまう。
伝えられなかった言葉をいくつも抱えて、
虹子はひとりで大人になっていく。
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あらすじは公式からお借り致しました。
キ上の空論という劇団サンの舞台です。

やって来たのは三鷹市芸術文化センター 星のホール

で、舞台自体は

良かった!

最後はホロリとできました。


★全体の感想★

セットはシンプルだけど変わった作りになっていました。
舞台はフラットで、白い床には、“ド・レ・ミ”や“死”“雨”“嘘”“me”などの言葉がパラパラと描かれています。
そのセンターの舞台部分を挟むように客席が両サイドに設置されています(出捌け口との兼ね合いを考えると前後が正しいかな?)。
客席と舞台部分の間には椅子があり、出番のないキャスト陣は基本的に捌けずにそこに座り、たまに電車の扉になったりとセット的な役割も果たしていました(説明が色々下手ですんません・汗)。
後に点灯するクリスマスツリーを模した電球のセットなんかもキレイで良かった。

内容は、母親の死により田舎から東京の叔母の家に引っ越してきた中学生の少女・虹子が主人公。
彼女は母親の死のショックで吃音症になっており、それが原因で学校で苛められたり“空気”扱いされたりしています。
物語は彼女の中学生時代から大人、そして娘の代までをカバーしており、時間軸を入れ子にして進んで行きます。
展開は感覚的で断片的。一つの出来事を掘り下げていくのではなく、登場人物が何故そうなったかをある程度客側が推し量る必要がありますね。
まるで、誰かの日記をぱらぱらと捲って見ているような感覚。
実際、物語自体も虹子の娘の季子が、母親の日記を読んでいる~って設定だった筈なので(多分…)断片的なのは演出の意図なのかもしれませんね。

床に書いてある字は、登場人物の心情や情景描写等とリンクしているので注目しながら観ると面白いです。
特に、“ド”は、吃音症でどもってしまう主人公の「ど、ど、どうも初めまして!」という言葉と、BGMで流れる“ド”の音とリンクしていて、ちょっと詩的です(笑)。
仲良くなった虹子と同級生達が、床にある“ド・レ・ミ”の音を踏みしめながら音楽を奏でていく姿は、仲を深めていく過程を判りやすく描写していて凄い。こんなシャレオツな表現があったとは!と感心。

あの時、あの言葉を言えていたら、こういう未来があったかも……。
主人公の心理描写が分かりやすく言葉で語られる事はあまりないのですが、彼女が体験してきた青春や後悔が、終盤の登場人物達が次々と台詞をリフレインする演出でストレートに心に入ってきて、気づいたらホロリとしておりました。

キャスト陣もそれぞれ安定したお芝居で◎。
特に床の文字とリンクした動きをしっかりしているのが凄いですね。大変そうだわ。
チャットモンチーの福岡晃子サンが作った音楽も、物語のドラマチックさを大いに手伝っておりました。

役名も色が使われていたりして面白い。
何故その名前が与えられたのかを考えるのも楽しいですね。

一人の少女が大人になるまで、その軌跡を温かな目線で描いていて、観ているこちらもいつの間にか虹子が愛おしくなってしまう。
終演後は、虹子の人生を最期まで見守ったような気持ちになり、心地よい疲労感が残りました。
青春物語としても◎ですね。
1時間30分と短めの芝居ですが、それを感じさせない充実したお芝居でした。

では、お次はキャストさん感想へ↓
ざっくりと相当軽めに……

★キャストさんの感想★

そういえば、虹子の名前ってキャスト表に載ってないですね。

印象に残ったのは、やっぱり主演の虹子と季子を演じた斉藤ゆきサン
実際の年齢は分かりませんが、ティーンをやっても違和感のない若々しさと瑞々しさがあります。
物語が、季子が虹子日記を読んでいるという流れだった筈なので(曖昧ですみません)虹子と季子のシンクロ率が高いですが、きっちり演じ分けていたと思います。
中学時代の吃音の虹子は、どこか付き合いにくそうな雰囲気があって、何となくクラスメイトから敬遠されるのが分かりました。
一生懸命言葉を紡ぐけど、言いたい事が言えない彼女の姿はもどかしいと共に愛おしく感じられる部分ですね。
初恋相手の黄多川との電車内でのハニカミな空気感が堪らん感じで良かった(笑)。
中学生の頃があまりに危なっかしかったのでどうなるのかと思いきや、ちゃんとした大人に成長していて安心しました。
斉藤サンの素朴で素直なお芝居が物語を引っ張っておりますね。

その他は虹子の中学時代の友達の翠を演じた三品優里子サン
ショートカットで金髪のスレンダーな容姿で、スクールヒエラルキーの中で上位のリア充組とかでなく、孤高の路線を歩む人という感じですかね、
自分の学生時代にもそういう人っていたんですよね、
クールで、どこか寂しげでドライで危うくて、普段何やってるか分からないところもデジャヴ感がありました。

翠と行動している女子力高めの暁代を演じた栗又萌サンはボーイッシュな翠とは逆の女子力高めの不思議ちゃん系女子。
翠みたいな女子が、こういう女子と意気投合するのって凄く理解ができるんですよね。
暁代は一見頭の弱そうな女の子だけど、実は物事を俯瞰して見ていてどこか冷たい。
こう人間関係に執着しているように見えて、実は案外ドライな人って結構いますよね。
王道ではないけど、確かにThe女子という感じのする暁代を、栗又サンはとても上手く演じていました。

この2人は、きっと虹子の一生の友達(当時の虹子はそうなりたかったのかもしれないけど)になるような人じゃなくて、そして翠と暁代の2人もきっと一生の友達ではなくて、中学生という時代はいずれ終わるというのを理解した関係に見えたんですよね。
その刹那的な部分が、中学時代の瑞々しくて危なっかしくて、切ない雰囲気に繋がったなと思います。
いや、上手く言えなくてすみません(そうですね)。

虹子の初恋の人・黄多川を演じた伊与勢我無サンは去年のMNSの『死ぬ前までに一度でいいから、ロマンス・オン・ザ・ビーチ』にも出ていました。
あの時はニコニコした人当たりの良い役でしたが、黄多川は普通の男の子でした(ざっくりしすぎ)。
虹子を何かと構うので、もしかしたら彼も虹子が好きだったのでは?と思ったのですが、彼の想いが明確化する事はなかったです。
黄多川の虹子に対する言葉は時に辛辣で、私だったら「お前に何でそんな事言われにゃならんのだ」とか言っちゃそう(笑)。
でも、電車で再会した時の彼は穏やかで、虹子と話している時の温かい雰囲気がとてもハニカミでした( ̄∀ ̄)


虹子の叔母の奈津を演じた石井舞サンは、凛とした冷たそうな方。
虹子に対する言動もあまり優しいとは言えず、虹子はひたすら彼女が苦手で奈津の前では更に吃音が酷くなってしまいます。
石井サンが上手かったのは、奈津は決して虹子が嫌いなワケではなくて、彼女なりに愛情を持っているのだろうなというのが判ったところ。
ただ、愛情表現が苦手というか素直な人ではないだけなのだろうなと。
奈津が亡くなる直前のシーンは、いつもの冷たい喋りの中に弱さや、虹子に対する愛情が滲んでいてグッときました。
虹子の方も、決して奈津が嫌いだったワケでなかったのですよね(^^ゞ

あとは、季子の友達の七瀬を演じた橘知里サンは、世話好きで包容力がありそうで、私もこんな友達が欲しいなと思ったのと(お前はいいよ)、後に虹子の旦那様になる青木を演じた藤田雄気サンが優しくてちょっと頼りなさ気で、虹子の旦那様として凄く納得できるなと思いました。

あと橙野を演じた安藤尚之サンは、虹子の中学時代の先生も兼任していましたが、ちょっとイラッとくる感じが上手かったです(褒め言葉)。


軽い上に、ウロッとりますがこんなところで。

爽やかだけど、ちょっとチクッとするお芝居で色々考えさせられました。
私も後悔しないように、思った事は口に出していこうと思います。
いや、正直、口に出し過ぎて余計な事になる場合が多いんですけどね、私は……(駄目だった)。

では、お付き合い頂いた方がいましたらどうもでした!

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