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バルジャベおじさま達集合~『貴婦人の訪問 THE VISIT』

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相変わらず時間経ちまくりですが……。
来年の再演も決まったクリエ演目の観劇です。


“『貴婦人の訪問 THE VISIT』~2015年8月25日(火)公演キャスト【ソワレ】”

アルフレッド・イル  /山口 祐一郎  クラウス・ブラントシュテッター/石川 禅
クレア・ツァハナシアン/涼風 真世   ゲルハルト・ラング      /今 拓哉
マチルデ・イル    /春野 寿美礼  ヨハネス・ライテンベルグ   /中山 昇
マティアス・リヒター /今井 清隆

若い頃のクレア、他   /飯野 めぐみ
若い頃のアルフレッド、他/寺元 健一郎

レーナ/日浦 美菜子

★その他の皆様★
岩崎 亜希子、樺島 麻美、河合 篤子、三木 麻衣子、吉田 理恵
榎本 成志、木内 健人、さけもと あきら、武内 耕、谷口 浩久、俵 和也、港 幸樹、山名 孝幸
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小さな街・ギュレン。工場は閉鎖され、今や財政破綻の危機に陥っている。
そんな中、この街の出身者であり、現在世界的大富豪となっている未亡人・クレアが戻って来る事になった。
クレアの元恋人であり、今は妻のマチルデと共に雑貨店を営むアルフレッドを初め、市長のマティアス達も彼女の帰還を喜び、また資金援助期待していた。
戻って来た彼女は、資金援助を引き受けるが、それと引き換えにある条件を提示する。
それは、彼女が街を離れねばならなくなった理由を作ったかつての恋人、アルフレッドの死であった……。
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やって来たのはシアタークリエ
席は15列10番センターブロック下手側。

で、肝心な舞台は

面白かった!

世にも奇妙な物語みたい( ̄∀ ̄)
豪華キャストが観られただけでも大満足です。

では、早速レポへ~。

※ネタバレあり

★全体の感想★

後方に二階建てのバルコニーのようなセットがあり、そちらは常駐だったと思います。
かっちりしたセットではないですが、シーンが屋敷内になると二階の窓の部分に赤いカーテンがかかり、ドレープ部分に安ランプの灯りが反射して高級感がありました。
その他の大きなセットは、アルフレッドとマチルデの雑貨店や森ですかね。
警察署などは大道具類でカバーしていました。

登場人物達の衣装は、最初は素朴な普段着やスーツ、制服など。
パーティーのシーンの町人達のドレスなんかはビビッドカラーで可愛かった。
しかし、出資されると判るにつれ皆の衣装はパリで流行っている?というシルバーの

往年のアバのような衣装に(何か違う)

これは、アルフレッドを見捨てていった人から順に衣装が変わっていったのだと思われます。
原作はスイスの作家、フリードリフ・デュレンマットの『老貴婦人の訪問』(『THE VISIT』)で、ウィーンでミュージカル化したものの日本版。
ブロードウェイでも同原作ののものがミュージカル化されていますが、別作品みたいですね。

物語は、タイトルロールでもある貴婦人が自分の故郷である寂れた町に帰郷して来るところから始まります。
貴婦人は若い時分に町の人から酷い仕打ちを受けて、町を離れざるをえなくなった女性で、今は未亡人で世界的な大富豪。
財政破綻をした町に出資をする約束をするけれど条件があり、それは自分を陥れた張本人である元恋人=主人公の"死"
最初は「とんでもない!」と突っぱねた町人達も目先の欲に囚われていき、男の友人達も後ろ暗さから目を逸らす為に、徐々に主人公を追い詰める存在になります。

サスペンスではありますが悲喜劇というか、ファンタジーさのない『世にも奇妙な物語』というか(分かりにくくてすみません)

結局一番怖いのは人間だよ!

っていう、現代ではオチの代名詞の1つとなっているようなラストに落ち着きます(どんなだよ)。
後味の悪いラストではありますが、人間の愚かさや、狭い町での集団心理(日本的に言うと“村社会”)を扱った作品は現代(に限らずだと思いますが)創作では珍しくないですよね。
出て来る人達がそれぞれエゴ丸出し、悪い意味での人間臭さ全開なので、感情移入できる話ではありませんが、それぞれの心の移り変わりとそれに翻弄される主人公、人々の心を大金と罪悪で操る貴婦人の行動などに着目すると入り込んで観られます。

ナンバーは狭いながらも壮大な雰囲気のものが多くドラマチック。
ハーモニーも多く、聴かせる歌が揃っています。今回の歌ウマキャストのスキルが余す事無く堪能できるので大満足。

キャスト陣はそれぞれお芝居も見応えがあり、また適材適所で◎。
一部面白すぎな方もいらっしゃいましたが(オイ)。

バルジャベおじさま達がキャッキャッうふふしている姿は心温まりました(何か間違ってる)。

色々とまだ観足りない部分があったので、再演もできれば観劇したいところ。
個人的にはなかなかの良作だと思いますが、後味は良くないのでかなり好き嫌いは分かれる作品だと思います

では、お次はキャストさん感想へ↓(※こちらもネタバレあり)
軽めに

アルフレッド・イル●山口祐一郎サン
最近はクリエ出没率が高い祐一郎サン。
帝劇で観る機会が減るのは残念ですが、末永く舞台に出て欲しいので小さい箱でもありがたいです。

早速なんですが

登場シーンから歩き方がおかしい(オイ)

体を痛めてるからとかでなくて、決まった立ち位置に行く為に歩数を調整して変な感じになっているというか……。
でも、その動きのぎこちなさも祐一郎サンのデフォなので楽しく観ておりました(何か違)。
合唱団の下手な歌を聴いて直立に倒れるところなんかも、判り易いコメディ芝居でウケました。
町から逃げようとして変装?しているシーンも、おかしすぎて会場からも笑いが( ̄∀ ̄)

近年では珍しいメガネ姿とサラサラの下ろし髪で非常に可愛らしくてビックリ。
いや~~、若いですねぇ。
イメージ的にぎこちない浦井くんって感じでキュンどころでした(笑)。

何となく予想はしていましたが、シリアスめな展開に対し、祐一郎サンだけがやたらとコメディっぽさが際立っていて異色の存在でした。
多分、彼の演じ方はスタンダードではないのだろうと思うのですが、むしろ悲喜劇っぽさが上がって良かった気がします。
ヒッチコックとか、前述の通りの『世にも奇妙な物語』風と言いますか。

しかし、後々明らかになる事実で、過去クレアに相当酷い事をしているのが発覚。
その上、金銭欲しさに?甘い言葉は言うわ、見た目が誠実そうなだけにドン引きハンパない展開でした(オイ)。
そりゃ、クレアに何されても仕方ないよな……(汗)。
おまけにマチルデにも酷いし……。

クレアの大金に惹かれ、皆が自分を殺そうと思っているのではないかと疑心暗鬼になるアルフレッドの姿は気の毒でもあり滑稽。
この辺りの展開と祐一郎サンの計算ではなさそうなコメディ芝居が(笑)存外マッチしていて面白いです。

悪いのは決して彼一人ではありませんが、典型的な村社会の思想に巻き込まれてスケープゴートとなってしまいます。
この辺りは、冒頭のコメディっぽさが効いて悲惨な雰囲気が際立って良かったかと。

歌唱は絶好調という感じではなかったかもしれませんが良かったです。
特に涼風サンとのデュエットは聴き応えがありました。
そして最も心配していたその涼風サンとのお芝居の相性は、思ったより悪くなかったので嬉しい誤算( ̄∀ ̄)。
いや、祐一郎サンのお芝居はそれ以前の問題という説もありますが(オイ)。

再演ではどうなるか分かりませんが、個人的に今のお芝居を現状維持でお願いしたいです(笑)。

クレア・ツァハナシアン●涼風真世サン
ここ近年というか、むしろ今まで観て来た涼風サンの役の中で一番ぐらいに好きです。
役自体もとても合っていましたし、むしろ彼女ありきの芝居じゃないかなと思います。
片足が不自由な設定なので杖をつき、足を引きずり?気味なんですが、そこも上手かったです。
というか、あんな不自然な歩き方して身体悪くしないかな……というぐらい徹底しとりました。

雰囲気からして如何にも変り者で、真意が読めずとっつきにくい感じ。
でも、過去が明らかになるにつれて人間的な部分が見えてきます。

彼女の望みは前述の通り、町に出資する代わりにアルフレッドの死を求めるというもの。
酷い望みではあるけど、彼女の体験した事の悲惨さを思えば荒唐無稽とも言い難いというか、最大級の復讐だったのだろうなと思います。
でも、そこに爽快感はなく、彼女は彼女で苦悩をしています

クレアには、まだアルフレッドに対する愛情が残っていて、そこが最後までネックになるのですよね。
アルフレッドが死んだ時彼女は泣き叫びますが、彼女に心を入れて観られないと「泣くぐらいならそんな交換条件出すなよ」で終わってしまうところなんですが、少なくとも私はそうは思いませんでした。
人間の気持ちはそう簡単に割り切れんもので、好きだからこそ余計に憎らしいというか、気持ちに折り合いがつかない事ってありますもんね。
悪いのは彼だけではないし、海外ドラマの『リベンジ』みたいに、関わった全員に万遍なく直接手を下すっていう手段もあるワケで……でも命を奪うのをアルフレッドに絞ったのは愛情があった故なんだろうなと思います。
この彼女の心情の複雑さがこの物語の一筋縄ではいかない面白さに繋がっているのですよね。
私は、ここにがっつり感情移入してしまい、最後のクレアの涙には心動かされました。

歌唱は迫力満点で◎。
特にアルフレッドを責め立てるソロはダンヴァース夫人よりも更に怖くて(笑)良かった。
祐一郎サンのデュエットも良いですね。

涼風サンは割と苦手な女優サンだというのは何度もブログで零しておりますが(すみません)、でもこの役は本当に当たり役だと思います。
彼女の歌を聴くだけでも、再演は観る価値はあるかと。
いや、まだ観られるかどうかは判りませんが……(オイ)。

マチルデ・イル●春野寿美礼サン

何だかとてもかわいらしくて美人でした(今更?)。

いや、春野サンって高級感のある衣装で見かける事が多かったので、今回みたいな素朴な衣装と髪型で観るのは新鮮だったのですよね。

コロレド大司教とヴァルトシュテッテン男爵夫人が営む雑貨屋ってどんなだよ。

というツッコミが頭を過りましたが(完全に別演目です)、2人とも良い意味で田舎っぽさがあったので、何だかんだ俳優サンって凄いのねとか今更ながら感心。
春野サンも、我が主役という雰囲気もなく(オイ)、抑えた演技でキレイな奥様でした。

マチルデは、怯える情けない(笑)アルフレッドを支える包容力を持った良妻。
縋りつく彼に優しく語り掛ける姿も素敵なんですよね。
祐一郎サンともなかなか良いカップルでした。

しかし、不思議とアルフレッドを裏切るつもりはなかろう時から裏がありそうというか、あまりに良妻過ぎて疑わしいというか……。
後々、アルフレッドがお金をもらって自分と結婚していると分かり、「愛したことはない」(だっけ?)ときっぱり言われたりして気の毒な事に。
でも、彼女は自分達の結婚に愛はなかったという事を気づいていたのですよね。
それが2人でいるシーンの違和感に繋がっていたのかなと。
とはいえ、今回の事がなければ何も知らず幸せに暮らしていけただろうになぁ……。

歌唱は、どの音域も万遍なくカバーしていて◎。
以前よりも高音が無理なく出ている気がしました。

マティアス・リヒター●今井清隆サン&ゲルハルト・ラング●今拓哉サン
今井サンは、市長殿(明らかに別演目意識の呼び方)。
警察官役の方との組み合わせは役職も含めて懐かしかったです( ̄∀ ̄)
しかし、あの首にかけてるベルトみたいなやつ何ですかね(そこ?)。
歌唱に関しては一番迫力がありました。
今井サンの声は温かい役を演じても生きますけど、悪役をやるとまた生きますよね。
キャストの中でも群を抜いた低音ボイスの迫力は役柄にピッタリ。
お父様役が上手い事は知っていたけど、政治家?役が上手い事も今回分かりました(笑)。
いや、分かり切った事ですけどね(^^ゞ
頼りになる悪役ぶりでした(謎)。


今サン、今今の片割れ(笑)。こちらも低音が素敵な方。
警察官役ですが、どう見ても最初から悪徳警官にしか思えない!(オイ)
別にジャベールの時は悪徳警官とは微塵も思いませんでしたが……不思議です(笑)。
アルフレッドとは一番仲が良さそうで、互いの友情を歌うデュエットがありますが、ハーモニーも素晴らしくしんみりしました。
でも、やっぱり裏が……(以下略)。
結局、彼もアルフレッドの事を裏切りますが、自殺を勧めたり一際残酷で怖かった。
友情のデュエットが良かったからこそ裏切り展開が生きるのですよね。
私まで誰も信じられなくなりそうでしたく(´□`;)

クラウス・ブラントシュテッター●石川禅サン
校長先生。これは、禅サンが得意そうな役柄。台詞も多いし、お芝居に比重が求められるので適任ですね。
皆が簡単にアルフレッドを裏切る中、良心と葛藤していたのが彼。
校長先生ですもんね。
実は、あまりに善人っぽすぎて怪しい……とか、深読みしてたんですが、彼に関しては特に裏はなかったです(笑)。

皆アルフレッドを裏切りシルバーメタリックの往年のアバ衣装に(オイ)着替えていきますが、彼だけは衣装がそのまま。
観客の立場としては、彼の考え方に心を傾けたいところでしたが、結局彼もアルフレッドの死に同意せざるを得なくなります。
その際、レーナがクラウスに渡した花が枯れていたりと町の良心が潰えた様子を視覚的に表現していたのも面白かった。

禅サンは変わらずのミラクルメイクでお肌がツルツルでした。
歌唱に関しては上手かったですが、音域はドンピシャではなさそう。
でも、高音は男性陣で一番キレイでした。

ヨハネス・ライテンベルグ●中山昇サン
中山サン神父似合うな~と思っていたら、エリザで観てたからだった(笑)。
最初は信心深そうでしたが、それだけに徐々に裏切りの思想に染まっていく様が怖かった。
真面目が故に、ダークサイドにいった反動が大きかった感じですかね(スターウォーズなの?)。
カルト教団の教祖というか……く(´□`;)

音域が合ってなかったのか歌は全体的に苦戦気味でしたかね。
特に低音域は歌詞が聴こえ辛かったです(すみません・汗)。
とはいえ、及第点以上の歌声ではあるのですが(^^ゞ


かなりウロっとりますが、レポはこんなところで~。

クリエのキャパでこのキャストが観られたのは本当に嬉しいですね、
この面子なら帝劇でも十分良いのだけどなぁ。
いや、この作品を帝劇で観たいとは微塵も思いませんが(コラ)。

男性キャストはレミゼ経験者が多かったので、アダルトキャストバージョンとかやらんかなとか雑念を抱きながら観ておりました。

作品自体も、好き嫌いが分かれる作品ながら、なかなか面白かったので、再演もできれば行けたらなと思っております。

では、お付き合い頂いた方がいましたらどうもでした!

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